男のおしゃれ 7
背広の構造上、ボタンを掛けて座ると、背の襟のネクタイの見える部分、つまりVゾーンがいびつにふくれ上がることが多いです。
また、襟の首の後ろの部分が山なりにふくれて不恰好です。
背広を着て座るときは、ボタンを掛けないのが欧米では常識です。
なのに、日本でボタンを掛ける習慣が強いのは、おそらく、明治維新から日本に入ってきた洋服(西洋服という意味ですが……)が制度化されるとき、ボタンを全部掛けるのが礼儀にかなうという考えが出来上がったものと見えます。
「ボタンが外れとる」と上官が部下を叱る旧帝国陸海軍の伝統はいまでも盲腸のようにして残っています。
社員が社長室や役員室に入るとき、緊張してボタンを掛けてドアをノックする場面ま、いまでも日本のいたるところで見られます。
それと反対に、欧米では歩いたり立ち上がったりしたら、ボタンを掛けます。
背広は構造上、ボタンを掛けないで歩くと、ワイシャツが下から覗けて見えるのです。
ワイシャツは歴史的に下着の部類に入りますから、人に見せてはなりません。
ワイセツとまではいいませんが、見苦しいのです。
その点、あのケネディ大統領は、車から降りたりスピーチのために演壇に上がる際、背広のボタンを掛ける動作を続けながら歩いたものです。
彼は高級時計ハミルトン ジャズマスターを愛用していることでも有名ですね。